あまつさえヘブン

思ったことを書かせて

鬱漫画を続けざまに読んだ春

春とかいってもうバリバリ暑いし最近蝉とか鳴いちゃってるけど…ずっと「いつか読むぞ」と思っていた「最終兵器彼女」と、「ぼくらの」を春に読んだので書きます。
 
(今後読みたい人は一応ネタバレ注意)
 
 

最終兵器彼女 

最終兵器彼女(1) (ビッグコミックス)
 

 北海道が舞台のSFラブ。軍によって最終兵器にされてしまったちせと、その彼氏のシュウジの話。有名な漫画なので読む前から、鬱展開であることや話のオチを知ってた。だからそんなに楽しめないかなとか思っていたけどそんなことなくて、一気に読みきってしまった。

 
人が最終兵器に改造されるってどういうこと?しかもなんでただの高校生だったちせなの?とか、読んでる最中いろいろ「???」ってなるんだけど、そういう謎の答え、ほぼ出てこない。ストーリーの核はあくまでもちせとシュウジの恋。好みが分かれそうな漫画。無理な人はとことん無理なんだろうなと思う。
 
これ青年コミック誌で連載されてたみたいだけど、なんというかどっちかっていうと少女漫画よりじゃないです????心情描写に重きを置いてるところとか、戦争中の世界だけど描かれてるのは主人公2人の周辺の出来事だけってところとか。突然の性描写!!!!みたいなシーン多すぎて少女漫画とは言い切れないし違和感もあるんだけど。
でも、兵器として進化してどんどん人間らしくなくなっていくけどただただシュウジの彼女でいたいちせの想いとか、ちせが兵器であるという秘密を軍の人以外でただ1人知ってしまったシュウジの苦悩とか、心情描写は違和感なく読めるし共感できるから、全然泣いた。号泣。
少女漫画慣れしている人の方がハマりやすいストーリー展開な気がする。
 
賛否両論あるラストとかは、救われね〜〜!そこは共感できね〜〜!!!!!って思ったけど、結局恋って崩壊していく世界より自分たち2人がどうなるかの方が大事なのでは?ましては高校生ですし!2人が極限状態の中でそうでありたいと願ったラストだと思ったら割と納得した。まあそれでも救われないし胸糞は悪いけどね!読んだ後に余韻が残る、良い漫画だった。読んでよかった。読んだあとすぐアニメも見ちゃった。
 
 

ぼくらの

ぼくらの(1) (IKKI COMIX)

ぼくらの(1) (IKKI COMIX)

 

 エ◯ァンゲリオンみたいな謎の巨大ロボットを15人の子どもたちが操り世界を救うSF漫画。この漫画も鬱展開で有名なのでストーリー知ってる人多いと思う。私もそうだった。

 
この漫画、子どもたちが主人公だけど爽やかさとか一切ない。最初から最後までずーっと物悲しい。その理由が、一度パイロットになった子どもは戦闘後に死んでしまうから。すなわち1回の戦闘につき1人子どもが死んでいくわけで。
子どもたちはパイロットになりたくてなったわけじゃなくて、洞窟探検してたら出会ったおじさんにゲームに誘われて、軽い気持ちでノったらとんでもないことに巻き込まれてたっていう不条理。逃げたくても敵に負ければ世界が終わるっていう。戦えば自分は死ぬし戦わなければ世界中の人が死ぬっていう。もう不条理の連続。ただただ不幸。
変なおじさんの変な誘いにノってはいけないという教訓かな????
 
パイロットになる順番はランダムなので、子どもたちはいつ自分がパイロットになるのか分からない。そんな中で、自分自身や周りの人たちや命と向き合っていくお話。取り乱す子ばかりだけど達観してる子もいて、中でもダイチなんかは自分の死を早い段階で受け入れて、大事な家族と地球を守るために闘うんだけど、立派すぎて胸が痛かった。中学生のときにこんな目にあったら発狂モノだよ。ていうか大人でもそうだよ。
 
パイロットになった子どもに焦点があたるっていうオムニバス形式で話が進んで、それぞれ心に闇とか問題とか抱えているので読んでて飽きない。話によってはハッピーエンドといえるものもあるけど、私には死恐怖症の節があるのでその先に死がある限りハッピーエンドという見方はどうしてもできない!やりきれなさの極み!
 
とか散々言ってるけど面白い漫画です。
読み進めていくと、自分たちの闘っている敵ロボットにもパイロットがいて、そのパイロットはぼくらの地球ではない平行世界のもうひとつの地球を守っている…っていうことが分かったり、ただ淡々と子どもが犠牲になっていくわけではない。悲しいけど、子どもたちが守った地球の行く末を見届けたいと思っちゃう。子どもたちが戦闘に勝つたび、負けたパイロットの地球は消えてるって考えるともうどうしようもなく鬱ですよね…。私は終末世界を生きれねぇな……。
 
普段漫画とか小説とか読むときは音楽聴かないんだけど、たまたま電車の中で聴いてた音楽止めるの忘れて読んでたときがあって、たまたま戦闘シーンでサカナクションのグッドバイが流れたんだけど公式BGMかよってくらい合ってたんで誰か試してください。ラスサビとかまじで合いすぎてて泣くしかないから。
 
 
 
どちらの漫画も決してハッピーエンドとは言えないけど、鬱漫画!胸糞悪し!って言われてる割にはきちんとストーリーが面白くて、ちゃんと考えれば結末にも納得がいくものだったのが良かったです。
終末モノの悲壮感はたまらない。本当はハッピーエンドが好物だけど。